▲アレルギーの原因となるかもしれないペット
ペットアレルギーとは、ペットの持つアレルゲンが原因となって起こるアレルギー症状です。ペットと暮らす限りアレルゲンから離れられないため、対処しづらい病気かもしれません。今回は、漆喰でペットアレルギーの改善を見込める理由を述べていきます。
ペットアレルギーの原因
ペットの持つアレルゲンには、大きく分けて
①唾液や尿中に含まれる糖タンパク質
②毛や表皮に存在する糖タンパク質
③体毛内に存在するダニやノミ
の三種類があります。このうち、③のダニやノミについては、漆喰による改善はあまり見込めないため、取り扱いません。
ペットのアレルゲンは一つではない
実はペットの体内に存在する糖タンパク質は一種類ではなく、複数種類が存在することが分かっています。例えば、犬ならばCanf1~Canf7という種類の糖タンパク質がアレルゲンとなっており、最も代表的なCanf1には、犬アレルギーを持つ人の52%が症状を示すとされています(「Environmental assessment and exposure control: a practice parameter-furry animals」(https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3519933/)より)また、ペットの持つアレルゲンには似ている構造のものがあるため、人によっては複数の動物にアレルギー反応を示すことがあります。
アレルゲンはどこに存在するか
ペットの持つアレルゲンのうち、皮脂腺などに存在するものは表皮に表れます。その後は皮膚からフケとして剥がれたり、体毛に付着したアレルゲンが細かく砕かれて空気中に漂ったりして、人間の粘膜に付着するとアレルギー反応が始まります。
唾液や尿中に存在するアレルゲンは、直接接触する他、乾燥した成分が人の粘膜に作用しても発症の原因となります。例えば、猫は舌で毛を舐めて毛づくろいをするので、毛に唾液のアレルゲン物質が付着することになります。
ペットアレルギーが確認されるペット
ペットアレルギーを引き起こす動物としては、イヌ、ネコ、ウサギ、ハムスター、モルモット、フェレット、ウマ、ウシなどの種類が確認されています。
一般的に、ペットアレルギーは毛のあるペットで起こりやすく、逆に毛を持たない、あるいは毛があっても抜け毛が少ない動物では起きにくくなっています。そのため、毛を持たない魚類、ハ虫類、両生類といったペットでは、まずアレルギーは起こりません。
ペットアレルギーの治療法
ペットアレルギーの場合は、投薬療法が中心となります。免疫療法もあるにはありますが、実施している病院が少ないため一般的ではありません。
そのため、予防策によってアレルゲンを減らすしかないのですが、内装に工夫をすることでアレルゲンを減らす手間を省けるかもしれません。最近その性質が見直されてきた漆喰は、ペットアレルギー症状にもその効果を発揮するとされています。
漆喰でペットアレルギーが改善する見込み
ペットアレルギーに悩む方から、漆喰を内装に使用した家でペットアレルギー症状が軽減したという体験談を聞くことがあります。なぜ漆喰にその効果があるのでしょうか。その理由を解説していきます。
理由その1 調湿機能
▲ペットを飼う家の漆喰リフォーム例(「Style is Still Living」より引用、http://www.styliv.com/reform/057/)
考えられる理由の一つとして、漆喰の持つ調湿機能が関係していることが挙げられます。これまでにも述べたとおり、漆喰は多孔質構造を持つ物質です。多孔質構造とは隙間を多く持つ構造ということで、漆喰はこの隙間に水分を溜め込むことにより、室内の湿気を調整する機能を持っています。
調湿機能によってアレルゲンの飛散を抑えられる
一般的に、漆喰を内装に使用した住宅では、使用していない住宅よりも程よく湿った空気を保っています。この状態で室内にペットの毛や角質といったアレルゲンが落ちても、湿気を吸って飛散しにくくなります。
理由その2 強アルカリ性によるタンパク質分解作用
石灰は強アルカリ性を示すため、タンパク質を分解する作用を持っています。「漆喰住宅」に住む人のペットアレルギー症状が軽減されるのは、この働きがペットの体から出たアレルゲンを分解してくれている影響があるのかもしれません。
また、タンパク質分解作用はアレルゲンを減らしてくれるだけでなく、ペットを飼う家にこもりがちなペット独特の臭いも分解して抑えてくれます。
ペットのための漆喰の利点
ペットの健康に良い
漆喰の調湿機能は人間の体に良い他、ペットの健康にも良いと考えられます。
人と同じく犬や猫などのペットにも、乾燥状態は皮膚にダメージを与えます。乾燥状態におかれることで、バリア機能が失われた皮膚に細菌が入り込むと、犬や猫は皮膚疾患を患う場合もあります。その他、犬や猫でもダニアレルギー、カビアレルギーに罹ることが知られており、いずれもアレルギー症状を引き起こした犬や猫にかゆみや不快感を与え、健康を損ねてしまいます。
ペットのアレルギーは人間のアレルギーにも辛い
▲ペットが体をかくとフケや毛が散らばる
さらに問題となるのは、ペットの皮膚にトラブルが起きるとペットアレルギーの人にとっても不都合が生じる点です。ペットは、乾燥した皮膚がかゆかったりすると、後ろ足でかいてしまったりすると思います。そうなると、フケや毛の破片がさらに撒き散らされてしまい、ペットアレルギーのアレルゲンが部屋の中に広がってしまいます。もちろんアレルゲンが少なくなれば、ペットアレルギーの症状も軽くなるため、ペットのために環境を整えれば人間のアレルギー症状も軽減されることが予想できます。
漆喰とあわせた予防策
その1 掃除と換気
漆喰がペットアレルギーに効果を持つと言っても、それだけに頼っていては、アレルギー症状は改善しないかもしれません。一番の方法は、部屋のこまめな清掃を心掛けることです。ペットアレルギーの症状を出さないようにするためには、ペットの毛やフケなどのアレルゲンを定期的に除去する必要があります。
掃除の手間を減らすため、掃除しにくい寝室などにペット立ち入り禁止の区画を設けても良いかもしれません。
その2 ペットを洗ってあげる
定期的にペットを入浴させることは、アレルゲンを減らすために有効な手段です。アレルゲンとなるフケや毛の破片などを洗い流すことができるからです。ペットを洗ってあげる際、ペット用のシャンプーを使うと、さらに効果があると思います。
ペットによっては水に濡れるのを嫌がるかもしれませんが、アレルギー症状を減らすためには仕方がありません。犬ならば最低でも1週間に一度、猫ならば2週間に一度を目安として、入浴の機会を設けるようにしましょう。
洗うことが難しければブラッシングで
洗ってあげることが難しい時でもブラッシングを行うことで、部屋の中に散らばる抜け毛を少なくすることができます。それにより、部屋全体のアレルゲンの量も少なくできます。ブラッシングはアレルギー症状を持つ本人が行うには難しい場合もあると思うので、同居の家族等に頼むのも方法の一つです。
その他、定期的にトリミングに出すのもアレルゲン管理のためには有効な手段です。
その3 アレルギーの起こりにくいペットを選ぶ
もしもこれから飼うペットを選ぶことができるなら、アレルギーの起こりにくいペットの種類を選ぶこともできます。アレルギーの起こりにくいペットには、比較的毛の長さが短かったり、抜け毛が出にくかったり、アレルゲンとなるタンパク質が少なめだったりする特徴があります。
まとめ
漆喰はペット由来のアレルゲンの飛散を抑えてくれるため、アレルギー症状の改善に役立つ可能性があります。同時に、ペット自身が患うアレルギーにも有効と考えられます。
ペットを飼われている方で、少しでも症状を抑えたい方、あるいは飼っているペットがアレルギーを患っている方は、内装に漆喰を使用することを検討してみてはいかがでしょうか。
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