漆喰でアレルギーが改善するって本当?(3)カビが増えなくなる

  ▲(「アレルギー症状Campus」より引用、http://www.siruzou.jp/arerugi-syoujyou/kabi.html) 

 

カビアレルギーとは、カビの放出する胞子が原因となって起こるアレルギー症状です。漆喰を内装に使えば、カビアレルギーの症状も軽減できるのでしょうか。カビアレルギーの概略を述べながら解説していきたいと思います。


カビアレルギーの原因

アレルゲンとなるカビの胞子は、200分の1ミリから20分の1ミリという小ささで、胞子が皮膚や粘膜に触れるとアレルギー症状の原因となります。アレルギー症状が起きなくても、人によっては不快感を訴えたり後述する病気のもとになったりするので、カビの繁殖は避けたいものです。


アレルギーを引き起こすカビの種類

アレルギーを引き起こす主な種類としては、コウジカビ(アスペルギルス)、ススカビ(アルテルナリア)、アオカビ(ペニシリウム)、クロカビ(クラドスポリウム)の四種類が知られています。コウジカビは畳やじゅうたん、押し入れ、冷蔵庫、エアコンの中などに繁殖する種類で、ススカビは水回りを中心として繁殖する種類です。アオカビは家具や畳に発生し、クロカビは家具の裏側やエアコン内部などに発生します。


カビが生えやすい場所

カビが生えやすい場所とは、すなわちカビの生育に適した場所です。生育に適した場所には二つあり、水分のある場所および養分のある場所になります。それらの場所で湿度80%以上、気温25~30℃の時に、カビは活発に繁殖するようになります。 


水分のある場所

 水分のある場所では、浴室や台所、洗面所などが主な場所になります。エアコンや空気清浄機の中も、結露した水分が溜まっている場合はカビが繁殖しがちです。 また、水を扱わない部屋でも、家具の裏や押し入れの中など、空気の流れが滞りやすい場所では湿気も溜まりがちです。したがって、それらの場所もカビの生える恐れがあります。 養分のある場所 カビの好む養分がある場所なら、どこでもカビは生えることができます。カビの好む養分とは、有機物なら殆どすべてのものが該当します。 台所まわりの食べカスや浴室の垢を栄養源として繁殖する場合があります。


他の病気の原因になることもある

▲アスペルギルス(横内医院ホームページより引用、http://www.yokouchi.or.jp/%e6%81%90%e3%81%84%e3%82%ab%e3%83%93%ef%bc%81%ef%bc%81%e3%82%a2%e3%82%b9%e3%83%9a%e3%83%ab%e3%82%ae%e3%83%ab%e3%82%b9/


肺アスペルギルス症

カビはアレルギー以外の病気を引き起こすこともあります。例えば、肺アスペルギルス症はその代表的なものです。この病気はコウジカビ(アスペルギルス)の胞子が肺の中で繁殖するために起こる病気であり、咳やたんなどの症状が出ます。肺アスペルギルス症には全部で三種類があり、喘息を持つ人はその一つであるアレルギー性気管支肺アスペルギルス症にかかる恐れがあります。この病気は喘息を持つ人に多く起きる肺アスペルギルス症で、アスペルギルスの胞子に反応してアレルギー症状が出てしまう病気です。


発がん性物質を出すことも

さらに、カビの種類によっては発がん性のある物質を放出するものもあります。有名なものではコウジカビの仲間が出すアフラトキシンという毒があり、これは肝臓がんのリスクがある強い毒性で知られています。その毒には、2004年にケニアで発生した中毒事件で125人が死亡したほどの強さがあります(大阪府感染症情報センター、http://www.iph.pref.osaka.jp/news/vol39/news39_2.htmlより)


カビアレルギーへの対策

症状に対する治療には、主に薬物療法および手術療法があります。 予防の方法としては、カビの繁殖を抑えるために風通しを良くすること、定期的に掃除を行うこと、それに住環境を整えることが挙げられます。湿気を抑え、カビの繁殖を防ぐためには、漆喰を内装に変えることが有効と考えられます。 


漆喰でアレルギー症状が改善する見込み

▲防カビ性のある漆喰(長岡商事株式会社 住宅事業部ホームページより引用、http://www.nagaoka-j.com/gaiheki.html)


漆喰でカビアレルギーの症状を軽減できると考えられる理由には二つあります。すなわち、漆喰が強アルカリ性を持つことと調湿能力を持つことです。


理由その1 強アルカリ性

漆喰は主成分が消石灰(炭酸カルシウム)であるため、表面が強アルカリ性を保っています。強いアルカリ分はタンパク質を分解する作用があるため、カビのような小さな生物は生きることができません。


漆喰を使ったカビの実験

カビが漆喰の表面では生きられない事実を裏付けるデータとして、江尻薫、上田俊策両氏による「漆喰の防カビ性に関する研究」(http://www.plastesia.com/club_plastesia/melmaga_image/046/boukabi.pdf)が2009年に発表されています。この研究の中で、漆喰を含む複数の材料にカビの菌糸を載せる実験が行われました。結果は、漆喰塗料およびアルカリ性を示す建築用塗料だけにカビが繁殖せず、それ以外のビニールクロスなどの建材にはカビの繁殖が見られました。その論文の中では、繁殖に適した条件をわざと揃えて培養を試みる、すでに繁殖したカビの菌床の上に漆喰塗料を塗るなどの実験を行いましたが、結果はいずれも漆喰塗料の上ではカビの繁殖は見られませんでした。論文の結論では、漆喰のカビの繁殖を防ぐ特性を、消石灰の持つ強アルカリ性と関連付ける報告を行っています。


理由その2 調湿能力


ビニールクロスはカビが繁殖しやすい

漆喰がカビアレルギーを防ぐ要因として、調湿機能を持つためにカビアレルギーを防いでいることが挙げられます。部屋の内外の気温差によって結露が生じると、カビの生育の好条件が生まれてしまいます。部屋の壁にビニールクロスを使っていると、一見カビが繁殖していないように見えても、壁面とビニールクロスの間に生じた隙間に湿気が溜まり、カビの住処になる場合があります。結露した水滴がビニールクロスの劣化を招き、ビニールクロスが剥がれて隙間ができると、そこにカビが繁殖しやすくなるためです。


湿度を保ってくれる

その点、上記のように漆喰ならばカビが繁殖する恐れは殆どありません。加えて、部屋全体のカビの発生を防いでくれます。なぜなら、漆喰はその内部構造にたくさんの穴を持っている(多孔質構造といいます)ため、穴の中に水分を蓄えておけます。蓄えられた水分は、部屋が乾燥してきた時に吐き出されるので、部屋の中は湿り過ぎず乾き過ぎず、ちょうど良い状態が保たれるという訳です。「漆喰住宅」内部の湿度はカビの繁殖条件から外れているため、カビが生えにくくなります。


どのくらいの湿度になるのか

それでは、漆喰を内装に使用した住宅なら、室内はどれ程の湿度になるのでしょうか。株式会社CONY JAPAN新築事業部 納得住宅南大阪が施工した事例(http://owner.nattoku-osaka.jp/1964/page/)によると、60%程になります。当URLには、冬の雨の日に外気を取り入れ、その後漆喰の調湿性能に任せると、湿度が80%から60%に下がったという体験談が出ています。 カビの繁殖しやすい湿度は80%以上ですから、この体験談は漆喰住宅ではカビが繁殖しにくいという証拠になると思います。


溜まった湿気は吐き出させよう

漆喰はすばらしい除湿機能を持っていますが、万能ではありません。ある程度までは湿気を吸い込んでおけるものの、溜め込める量にも限度があります。そのため、漆喰の持つ調湿能力を保つためには、「管理」する必要があります。「管理」と言っても大した手間は不要で、晴れた日に部屋の窓を開けるだけで十分です。外気を入れることで、漆喰に湿気を吐き出させてやりましょう。


まとめ

カビの繁殖、及びそれに伴うアレルギーをはじめとする様々な病気を、漆喰は防ぐことができます。カビアレルギーに苦労している方は、漆喰を内装に使用してみてはいかがでしょうか。 ただもちろん、漆喰だけに頼るのではなく、その他の防カビ対策も行いながらカビの発生を予防しましょう。



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