漆喰でアレルギーが改善するって本当?(5)化学物質を分解できる

▲ペンキや接着剤もアレルゲンになる場合がある


化学物質アレルギーのうち、ホルムアルデヒドなどの化学物質がアレルゲンとなるアレルギー症状は、漆喰によって改善できるかもしれません。今回はその理由について解説していきます。


化学物質アレルギーの原因

私たちの生活は、住宅建材からシャンプーに含まれている香料まで、多くの場面で化学物質に囲まれています。化学物質アレルギーは、そうした化学物質のうち特定の種類に対してアレルギー反応を示してしまうため、生活の中で気を遣わなければいけません。


住宅の中のアレルゲンとなる化学物質の種類

住宅建築には多くの化学物質が使用されており、どの化学物質でアレルギー症状が起こるかは、人によって異なるため一概には言えません。多くの場合、ホルムアルデヒドとVOC(Volatile Organic Compounds、揮発性有機化合物の略)が住宅由来の化学物質アレルギーの原因となります。ホルムアルデヒドは合板木材の接着剤などとして使われる薬品です。VOCは多くの種類の有機化合物を含む呼び方ですが、トルエンやキシレンなどの有機化合物の総称としてよく使われます。トルエンやキシレンは、住宅の中では接着剤や塗料の中のシンナーなどに含まれています。


室内の空気中に漂う化学物質

住宅の建材として使用される物質としては、ホルムアルデヒド(木材の防腐剤)、トルエンおよびキシレン(塗料)、アセトアルデヒド(防カビ剤)、ダイアジノン(畳などの殺虫剤)、フェノブカルブ(防シロアリ剤)などがあります。上述したものはほんの一例で、まだまだ数多くの化学物質が住宅には使われており、有毒性のあるものも少なくありません。


他の症状との違い

シックハウス症候群や化学物質過敏症という言葉を聞いたことがある方は多いのではないでしょうか。一見どれも似たような意味に思えますが、化学物質アレルギーとはどのような違いがあるのでしょうか。


シックハウス症候群

シックハウス症候群とは、住宅に使われている化学物質が原因となって起こる病気の総称です。症候群とは「原因がよく分かっていないのにもかかわらず、身体の不具合と何らかの関係があるとみられている病気」という意味です。シックハウス症候群は20世紀後半のアメリカで最初に報告された病気であり、化学物質が使われた部屋でさまざまな症状を訴えた人がいたことから名付けられた病気でした。そのため、アレルギー症状以外の症状をも、シックハウス症候群は指しています。


化学物質過敏症

化学物質過敏症とは、化学物質に触れた時に通常レベルよりも比較的敏感に反応してしまい、症状が表れる非アレルギー性の病態の呼び方です。主な症状は呼吸器および粘膜の異常に始まり、不眠や不安およびうつ状態などの精神症状、中枢神経障害など多岐に亘っています。アレルギーが免疫反応による症状だけを示しているのに対し、この病気は化学物質が原因となって起こる広範な症状を指していると言えるでしょう。


化学物質過敏症は誰でもなるかもしれない

注意しなければいけない点は、化学物質過敏症は化学物質に繰り返し暴露した人または一度に大量に晒された人がなる危険性があるということです。つまり、今は健康な人でもなってしまう危険性があります。いま自覚症状がなくても発症を防ぐために、普段から化学物質にあまり触れないように気を付けた方がよいでしょう。


化学物質アレルギーの治療法

いったん化学物質アレルギーになってしまった場合はどのように治療すれば良いのでしょうか。治療法は症状を抑える薬物療法が主体で、その他、症状を軽減させる方法として運動療法および温熱療法が挙げられます。運動療法は運動によって、温熱療法は体を温めることによってそれぞれ新陳代謝を促し、体内に溜まった化学物質の排出を促す治療法です。


治療のために建材を変える

どの治療法でも、治療の間にはアレルゲンとなる化学物質に汚染されていない滞在場所が必須になります。その滞在場所として自宅を考えるなら、少しでも体への負担が少ない建材に切り替えたいところです。治療のために漆喰を建材として使用してみるのはいかがでしょうか。


漆喰でアレルギーを改善が見込める理由

その1

化学物質の総量が減るから 化学物質アレルギーやシックハウス症候群、それに化学物質過敏症で悩む人が、「漆喰住宅」に住むと症状が改善されたという意見を聞くことがあります。これは一体なぜなのでしょうか。 考えられる一つ目の理由として、建材を変えることによって室内の化学物質量の総和が減ることが挙げられます。あるいは、漆喰に切り替えるまでの壁材が、たまたまその人が反応してしまうアレルゲンを放出していたのかもしれません。

化学物質が多い塩化ビニル壁紙


▲塩化ビニル壁紙(「漆喰珪藻土ケイソウくんでDIY-(株)ワンウィル潮田のお客様ご相談ブログ」より引用、http://www.keisoukun.com/blog2/date/2015/09/)

例えば、よく住宅の壁材として使われているビニールクロスのうち、塩化ビニル壁紙という種類には、特に多くの種類の化学物質が使われています。「シックハウス大事典!」(http://www.sick-house-daijiten.jpn.org/kennzaikarano/kennzaikarano02.html)によると、塩化ビニル壁紙には可塑剤・防カビ剤など十種類の化学物質が使われており、人体に害のあるものも少なくありません。さらに、クロスを貼る接着剤も多量の化学物質を出すため、それらの化学物質が減った結果、症状が改善したことが考えられます。


その2

ホルムアルデヒドなどの分解作用


▲ホルムアルデヒド分解作用のある漆喰(「家具と家の相談やさん La Vida」より引用、http://lavida.co.jp/dwelling/blog/cat01/4056/) 漆喰住宅が化学物質アレルギーに効く二つ目の理由として、漆喰がホルムアルデヒドなどの化学物質を分解し、無毒化できることが挙げられます。 ホルムアルデヒドの分解作用についての研究 これを裏付ける研究として、関西ペイントが2009年に発表した研究があります(http://www.kansai.co.jp/rd/token/pdf/151/11.pdf)。この研究は同社が販売している漆喰塗料の実験を記録しており、実験の一つとしてホルムアルデヒドの分解性が試されました。実験方法は、塗料が塗られた試験片にホルムアルデヒドを吹き付けた後24時間に亘って経過を見るというものです。実験は、2時間後には袋の中のホルムアルデヒド濃度が殆どゼロになるという高い分解性を示す結果を出しました。


ホルモース反応

なぜ石灰はホルムアルデヒドを分解できたのでしょうか。研究の中では、その理由をホルモース反応によるものとして説明しています。ホルモース反応とは、ホルムアルデヒドから糖を合成する反応のことで、水酸化カルシウムが触媒となります。水酸化カルシウムは、漆喰の主成分でもある消石灰のため、ホルモース反応によってホルムアルデヒドを分解することができたのです。


漆喰とあわせての予防策

室内の換気 部屋の空気がこもってしまうと、化学物質の濃度も高まってしまいます。漆喰の調湿機能を保つ意味も込め、換気をこまめに行いましょう。


買うものの素材に気をつける

上述のように、カーテンなどでも化学物質を出すものはあります。また、畳のように自然素材由来の商品に見えて、防虫剤などが使われているものもあります。そのため、なるべく化学物質を使っていない製品を揃えていくことが予防策かつ治療法になります。


規則正しい生活

睡眠不足や運動不足で体の抵抗力が弱っていると、症状もひどくなりがちです。 アレルゲンの排出を助ける食事の組み合わせも影響するため、食事にも配慮しましょう。


まとめ

漆喰を内装に使用すれば、化学物質の影響も緩和されることが予想されるため、化学物質アレルギーの方にはお勧めです。お困りの方は是非ご一考下さいませ。 



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