アレルギーという言葉はよく聞きますが、具体的にどんな病気か正確に分かる方は多くはないでしょう。漆喰による症状の改善を解説する前に、アレルギーについて解説していきたいと思います。
アレルギーという言葉の意味と定義
言葉の意味
アレルギー(allergy)の語源はギリシア語のallos(変わった、奇妙な)とergon(働き)から来ています。しかし、アレルギーという言葉はギリシア語ではありません。オーストリアの小児科医であったクレメンス・ピーター・フォン・ピルケ(1874~1929)が作り出した造語です。ピルケはアレルギーの症状を見て、「奇妙な働き」という意味の病名を名付けたのでした。
アレルギーの定義
世界アレルギー機構(WAO)が定めているアレルギーの定義には、「免疫学的機序で開始する過敏性反応」とあります。つまり、人体の持つ免疫システムが過敏に反応した結果、アレルギーの症状が起こってきます。ピルケが「奇妙な働き」と名付けたのは、本来人間を守るべき免疫システムが、まるで害を加えるように働くからでした。
ちなみに、皮膚疾患の見た目が似ている病気としてアトピーがありますが、アトピーとアレルギーは別の病気とされています。
アレルギーという病気について
アレルギーの原因
アレルギー症状が起きる原因となる物質をアレルゲンと呼びますが、これには、ダニの死骸や花粉、カビの胞子、ペットの毛、化学物質、あるいは小麦や卵といった食べ物などが該当します。
ある人にとってはアレルギーの原因となる一方、同じアレルゲンに対して何の症状も示さない人もいます。これは一体どういうことなのでしょうか。
アレルギーの起こる仕組み
▲IgE抗体にアレルゲン(抗原)が結びつき、マスト細胞からヒスタミンが放出される模式図(「ステロイドフリー宣言」、http://steroidfree.net/4allergy_type.htmlより引用)
アレルギー反応が始まるかどうかは、IgE抗体というタンパク質に秘密があります。花粉などのアレルゲンが体内に侵入し、免疫システムによってIgE抗体が過剰に産生されると、マスト細胞(肥満細胞とも)表面にIgE抗体が留まるようになります。この状態で、もしも再びアレルゲンが侵入しIgE抗体と結合すると、ヒスタミンなどがマスト細胞から血管中に放出されます。このヒスタミンなどの物質が炎症を招くことで、さまざまなアレルギー症状が起こるという訳です。アレルゲンに晒された時のIgE抗体が少なければ、アレルギー症状は起きません。
アレルギーの症状
アレルギーの症状として、せき・鼻水・くしゃみ・粘膜の炎症・ぜんそくなどが起こります。これらの反応は全て、有害物質を体外に排出しようとする働きです。せき、鼻水、くしゃみは、空気や液体に乗せてアレルゲンを体外に出そうとする働きです。では炎症やぜんそくも防御反応なのでしょうか。炎症とは、ヒスタミンなどの作用によって血中成分が血管外に出てきた過程で起こり、それに伴って白血球が炎症部位に集まり、外敵を除去しようとする反応です。炎症が気道に起こった結果として、気道が狭まった状態がぜんそくになります。
アレルギーの治療法
アレルギーは体質による免疫反応が原因となる病気のため、治療にも工夫が必要な病気です。治療には、大きく分けて投薬療法と免疫療法、それに手術療法の三種類があります。
投薬療法
投薬療法とはアレルギー症状を抑えるために薬を投与する治療のことです。ステロイド剤や抗ヒスタミン薬などといった薬を使い、免疫反応を抑え、アレルギー症状を起こさないようにします。急に投薬を止めると症状が再び現れてしまうので、次第に減らしながら治療を続けていくことになります。
免疫療法
免疫療法とはアレルゲンを少量ずつ投与して抵抗力をつけさせ、免疫体質の改善をはかる治療法のことです。代表的な治療法としては、減感作療法や舌下免疫療法が知られています。これらの免疫療法は、効果が確認されてはいますが、欠点として時間がかかることが挙げられます。どちらの免疫療法も、完治までに3~5年はかかると言われており、それだけの期間は定期的に治療を受け続けなければいけません。
手術療法
外科手術によってアレルギー症状を緩和させる治療法です。代表的な方法であるレーザー治療は、アレルギー性鼻炎の治療に使われるもので、鼻腔内の粘膜にレーザー光をあて、粘膜の腫れをとると同時にアレルゲン感受性を抑えるという方法です。治療は短時間で済み、入院する必要が無い場合が多いです。
しかし、効果は長続きしない場合があり、一般的に2年ほどで効果がなくなってしまうのが欠点です。
どの治療法も一長一短
投薬療法にせよ、免疫療法にせよ、あるいは手術療法をとるにせよ、どの方法も一長一短だと思います。投薬療法では治療も対症療法的になってしまい、投薬をやめるとまた症状が戻ってくる可能性があります。免疫療法は、体質改善による完治が望めますが、完治までに年単位の長い時間が必要になります。手術療法は短期的に効果があり、薬を服用する手間もありませんが、時間が経つと再び症状が表れてしまいます。いずれの治療法をとるにしても、治療のためにはアレルゲンを遠ざける予防策が必須になります。
アレルギーの代表的な予防法
住環境が原因となるアレルギーの改善策として大事なことは、アレルゲンを遠ざけることです。徹底した予防により症状を抑えることができれば、劇的な改善が見られることもあります。
服装の工夫
アレルゲンは皮膚や粘膜に作用してアレルギー反応が始まるため、アレルゲンをそれらの部位に触れさせない工夫が必要になります。例えば花粉症対策ならば、外出時にマスクを着用するなどし、帰宅時には玄関で、衣服についた花粉を払い落とすなどの工夫が挙げられるでしょう。
部屋の掃除
定期的な掃除は、部屋の中に溜まったアレルゲンを減らすために有効な方法です。特にダニやカビ、ホコリ、ペットによって起こるアレルギー症状には不可欠の対策です。掃除を通してアレルゲンを除去することで、アレルギー症状も改善するはずです。
換気
化学物質などのアレルゲンを減らすためには、積極的な換気が必要となります。
空気中にダニの死骸の粉末やカビの胞子、ホコリ、ペットの毛、花粉などが漂っている場合は、空気清浄機や除湿機を使用してアレルゲンを除去することも有効です。アレルギー症状を持つ方が選ぶ時には、フィルターの目の細かさや集塵能力、あるいは有効な部屋の広さから商品を選ぶとよいでしょう。
住環境を考える
以上挙げた対策に加え、元からアレルゲンを絶つのなら、住環境を整えることが大切です。多くの方にとって、一番滞在する時間が長い場所が自宅でしょうから、自宅の環境を整えれば、それだけアレルギー症状も改善されるでしょう。
たとえばカビやダニのアレルギーなら、住環境を変えて室内の湿度をコントロールすれば、カビやダニの繁殖を抑えアレルゲンを減らすことができます。化学物質アレルギーならば、住宅に使われる化学物質を減らせば、改善が見込めるでしょう。
漆喰で住環境を整える
住環境を整える一手段として、漆喰を内装に使うことはいかがでしょうか。漆喰はその性質により様々なアレルギー症状を軽減させることができます。
漆喰を内装に使用した家では「空気がきれいになった」、「暮らしやすくなった」などの評判が寄せられており、「アレルギー症状が軽くなった」との体験談も寄せられています。
まとめ
アレルギーという病気は治療の一環として予防が不可欠です。そのためには住環境の見直しが必要な場合があり、内装を漆喰に変えることが症状の改善に役立つかもしれません。次回からは、それぞれのアレルギー症状ごとに、漆喰がどのような効き目を持つのかを見ていきたいと思います。
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