▲アレルギーの原因となるチリダニ
(兵庫県西宮市ホームページより引用http://www.nishi.or.jp/contents/0002424300030002500213.html)
アレルギーの原因としてよく知られているものにダニがあります。漆喰には、ダニアレルギーを含め、アレルギー全般を軽減させる効果があると言われています。なぜ漆喰は
アレルギーに効果があるのでしょうか。
身近な病気であるダニアレルギー
日経スタイル2014年1月5日号(http://style.nikkei.com/article/DGXNASFK1100O_R11C13A2000000?channel=DF140920160919)によると、東京都目黒区の中山皮膚科クリニックで診療を受けた42人の患者のうち、87%がダニアレルギーであったということです。ダニは人間と生活圏を同じとしているため、ダニアレルギーは身近な病気であると言えるかもしれません。
アレルギーの原因となるダニの種類
アレルギーを引き起こすダニはごくわずか
ダニアレルギーと言っても、アレルギー症状を引き起こすダニは全体のうちほんのわずかです。一説によると、世界ではダニが50万種も存在すると言われており、うち住居の中で人間に被害を及ぼす種類は4種類ほどです。その4種類とは、ヒョウヒダニ、コナダニ、ツメダニ、イエダニです。このうち、アレルギー症状の主な原因とされるダニはヒョウヒダニだけです。ツメダニとイエダニは人間を刺す、または吸血することで、コナダニは捕食される存在としてツメダニを呼び寄せることで、人間に害を及ぼします。
ヒョウヒダニ
▲チリダニ(ヒョウヒダニ)拡大図
(大津医院ホームページより引用、http://otsu201.byoinnavi.jp/pc/free225670.html)
ヒョウヒダニはアレルギーを引き起こす代表的なダニです。別名チリダニとも呼ばれるこのダニは、ヤケヒョウヒダニとコナヒョウヒダニの2種がアレルギー症状を引き起こす種類として知られています。両種の生態に大した違いはありません。どちらの種類も人間の食べこぼしやフケや垢といったハウスダストを主食としており、部屋のホコリの中や寝具、カーペット、ソファなどに生息しています。なお、両種のデータについては、イカリ消毒オンラインショップ(http://www.ikari.jp/gaicyu/36010d.html)を参考にしました。
ヤケヒョウヒダニの生態
体長は0.25~0.4mmほどで、世界中に分布します。温度25℃、湿度70%の条件下で、卵から成虫になるまで約37日間かかり、寿命は約70日とされています。湿度50%以下で死亡しやすくなり、生涯で卵を50~100個ほど産みます。
コナヒョウヒダニの生態
コナヒョウヒダニも、体長はヤケヒョウヒダニと同じくらいで、同じく世界中に分布します。ヤケヒョウヒダニに比べると、やや乾燥した環境を好むようです。温度25℃、湿度76%の条件下では卵から成虫になるまで約40日間かかり、成虫の寿命は約77日間とされています。
ダニがどうしてアレルゲンになるのか
このヒョウヒダニの何がアレルゲンになるのでしょうか。それは、ヒョウヒダニの死骸とフン、それと脱皮殻です。もっとも、ヒョウヒダニの死骸、フン、脱皮殻はそのままではアレルゲンにはなりません。大きすぎるために人間の粘膜を通らないからです。しかし、それらが乾燥して砕けたりすると、アレルゲンになります。細かい粉状になった死骸などが粘膜に付着すると、アレルギー症状が出始めます。
アレルギーの起こりやすい時期
ダニアレルギーが起こりやすい時期は、アレルゲンが多くなる時期であり、一年のうちでは秋がその時期です。その理由は、夏に大量発生したダニが秋に寿命を迎え死亡するからで、夏の高い湿度の下で増えたダニが寿命で死ぬと、アレルゲンとなる大量の死骸が残されます。また、同じくアレルゲンとなるフンや脱皮殻も多く残されます。そのため、秋はダニアレルギーが多く起こる季節となる訳です。
ダニアレルギーへの対策
ダニアレルギー対策の注意点
アレルギーの原因となるヒョウヒダニを遠ざけるためには、どのような方法をとればいいのでしょうか。ダニアレルギーが厄介な点は、ただダニを殺すだけではアレルギーは改善しないことです。アレルゲンはダニの死骸などの破片であるため、ダニを殺してもアレルゲンはそのまま残ってしまうのです。
対策その1 衛生的な環境を保つ
最も効果的な退治方法は、衛生的な環境を保つことです。そのため、アレルゲンを除去するために布団やカーペットならば丸洗いを行う、定期的に掃除機をかけてダニの死骸などを除去するといった作業が有効な対策になります。
なお、布団を日光に当ててもあまりダニを殺すことはできません。日光の熱だけではダニを殺せる温度には至らないためです。干した布団を叩く行為もダニの死骸やフンを細かく叩き割ってさらなるアレルゲンを作ってしまうため、止めたほうがよいでしょう。
対策その2 燻蒸剤を使う
気になるようならば、半年に一回くらいの頻度で、殺ダニ剤で燻蒸する方法もあります。しかし、ダニアレルギー症状を持つ方は鼻やのどの粘膜が敏感な方もいらっしゃるでしょうから、慎重に行う必要があります。特に子どもやペットのいる家庭では、より慎重に行う必要があるでしょう。
漆喰による改善
もしも部屋の環境をコントロールすることで、ダニが生息しにくい環境を作れるとしたらどうでしょう。ダニアレルギーの症状も改善されるかもしれません。そのために有効な手段として、漆喰を内装に使用することが挙げられます。
漆喰の何がダニアレルギーに効くのか
▲漆喰塗り壁の収納庫(ブログ「体に優しく居心地良い部屋に。珪藻土・漆喰・砂壁でリフォーム&塗り替え」2013年3月12日の記事より引用、http://ameblo.jp/mirai-niji/entry-10718031259.html)
漆喰住宅に住むようになった方の中には、ダニアレルギーの症状が改善したという方が見られます。これは一体なぜなのでしょうか。
その理由は、残念ながらよく分かっておりません。それというのも、漆喰住宅の中のダニの生息数を扱った研究がなく、明確な科学的な裏付けがないためです。
しかし、考えられる理由はいくつかあります。
理由その1 ビニールクロスから変わった
まず、壁面の素材を漆喰に切り替えたことによって、ダニの生息しやすい環境から切り替わったということが挙げられます。
広く住宅に使われているビニールクロスは、室内と室外の温度差などにより、部屋の中に結露を生じさせることがあります。結露が生じるのは、ダニの好む高い湿度の状況です。さらに、ダニのえさとなるカビが生えることにより、ダニの繁殖が早まるかもしれません。
どんなところにもダニはいる
しかし、壁面の素材が変わっても、ダニが生息できる環境は住宅の中にまだまだ残されているはずです。例えば、カーペットや畳にはダニが生息しやすいことが分かっていますし、部屋の隅のわずかなホコリや食べかすでも、あればダニは生きることができます。
理由その2 調湿機能
漆喰住宅でダニアレルギーの症状が緩和される二つ目の理由として、漆喰の持つ調湿機能が影響していることが挙げられます。漆喰は内側に多くの微小な空間を持つ多孔質の物質であり、空気中の湿気を取り込んだり吐き出したりしてちょうどいい湿度に保ってくれる働きがあります。ダニが繁殖しやすい湿度は65~85%で、50%以下で生息数が激減します。もしも住宅の壁に塗られた漆喰の働きにより、ダニの生息に適さない環境が生まれたのなら、漆喰がダニアレルギーを改善させたことが考えられます。
理由その3 強アルカリによる作用
もう一つ、漆喰の強アルカリ性がダニの数を減らす利点として挙げられます。漆喰の主成分である消石灰(水酸化カルシウム)は強いアルカリ性を示します。アルカリ性はタンパク質を分解する作用を持つため、ダニの発生を防いでくれるかもしれません。
まとめ
ダニの数を減らす効果が見込めるため、漆喰によるダニアレルギーの改善は期待できるでしょう。もちろん漆喰だけでは限界があるため、予防策をあわせて行っていきましょう。
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