■建材・接着剤等には大量の有害物質が含まれている
現在のほとんどの建築物や住宅の建材には、集成材や合板、パネルなど木もどきの素材がたくさん使用されています。それらの建材を作るのに石油製品の接着剤や塗料などが使用されていて、建材には有害物質が大量に含まれています。
今回は、現代建築物の建材・接着剤等に大量に含まれている有害物質と、その危険性について説明していきます。
ビニールクロスに含まれる有害物質
ビニールクロスは大変安価なため、現代の住宅の壁や天井に貼って仕上げられています。この素材はこの30~40年間で普及し、壁や天井の内装材として多くの住宅で使われてきました。住宅メーカーだけでなく、工務店でも内装の仕上げ材としてビニールクロスを使用しています。
ビニールクロスの種類は豊富ですが、石油を原料としているため、どんなものにも似せて作ることができます。しかも大量生産が可能で施工も簡単にできるため、住宅の工期が短くて済みます。その素材の裏に糊を塗って、貼り付けるだけというシンプルな方法で施工が完了します。
見た目がきれいで価格は安く、短期間で施工できるため、ビニールクロスはあっという間に普及していきました。これほど優れた建材はないと思われていました。
ところが、ビニールクロスには人体に悪影響を及ぼす問題があることが、その後発覚しました。ビニールクロスの裏に塗る糊にはホルムアルデヒドという物質が大量に含まれていて、それが住人の健康に悪影響を与えていたというケースが明らかになったのです。そこで、住宅メーカーは別の薬品を含む糊に切り替えましたが、その糊にも石油製品である接着剤が使用されているため、健康被害のリスクがあるのではと危惧されています。
健康被害の原因は糊だけでありません。ビニールクロスはプラスティックでできている石油製品で、柔軟性を高めるため可塑剤が含まれています。独特のビニールの臭いの元であり、それが揮発性ガスを発し健康被害の原因となっていたことがわかったのです。
また、ビニールクロスを焼却すると、ダイオキシンが発生し、環境へ悪影響を及ぼす可能性があることも指摘されています。
合板フローリングに含まれる有害物質
合板フローリングは、近年では大手の住宅メーカーだけでなく、工務店が建築するほとんどの住宅の床材として使用されています。合板とは、木を薄くスライスした板を、接着剤を塗って重ね貼りした材料です。
合板の床材は伸縮性がそれほどなく、反り返ったりすることはあまりありません。表面には薄いナラ材などの化粧材が貼ってあり、見た目が大変美しいのが特徴です。
ところが、スライスした板を重ね貼りするため、石油製品である接着剤が大量に使用されています。以前は、接着剤にホルムアルデヒドが大量に含まれていましたが、現在では国で基準値が設定され、代わりの薬品が使用されるようになりました。
ただし、ホルムアルデヒドが大量に含まれている接着剤は基準値以上に使用されなくなったとしても、その代替である薬品が人体に悪影響を及ぼさないとは断言できません。ホルムアルデヒドの揮発される量が国の基準値内であるとしても、人体に悪影響が出ないことまでは証明されていないのです。それが解明されるまでには、まだ時間がかかると考えられています。健康被害が出るリスクのある材料を使った住宅に、安心して住み続けることは難しいでしょう。
集成材に含まれる有害物質
集成材はラミナという板材を接着剤で貼り合わせた建材で、元々は100年ほど前ドイツで初めて作られました。日本で建材として使用されるようになってからは、まだ数十年しか経っていません。主に、アパートや倉庫、建売住宅の柱や梁などの土台として集成材が使われています。
集成材は天然無垢材の柱や梁より乾燥させるのに手間がかからず、取り扱いも簡単なため、日本では建築物の柱や梁などの土台として普及しました。
ところが、集成材で使用される接着剤にはホルムアルデヒドという有害物質が含まれており、それがシックハウス症候群の原因のひとつと言われています。また、集成材を廃棄するため焼却すると、有害物質であるダイオキシンなどが発生し環境へ悪影響を及ぼします。
サイディングに含まれる有害物質
サイディングは建物の仕上げとして使用される建材で、色や模様がタイルや石のような見た目です。材質によってたくさんの種類があり、紙くずをセメントで固めている安いものから、セメントのようにガッチリと固くしている高級なものまであります。
モルタルの壁はひび割れることがありますが、サイディングを使えばひび割れの心配はありません。そのため、最近ではモルタルよりサイディングを好む人が多くなり、サイディングはよく使われる人気の材質となっています。
ところが、いくら高級な材質であっても本物の石ではなく、コスト削減のためなのか木くずが含まれています。また、以前は外壁材に窯業系サイディング材が使用されていたことがあり、その中に有害物質であるアスベストが大量に含まれていました。アスベストの有害性が指摘されて使用が禁止されたため、現在ではアスベストが含まれていない窯業系サイディング材が使用されるようになりました。
パーティクルボードに含まれる有害物質
パーティクルボードは、小さな木片や粉末状の木を接着剤で固めて1枚のボード状に形を整えた建材です。台所の収納箱や戸扉、ドアや窓の枠、幅木などに使用されています。
合板と同じように、以前は使用している接着剤にホルムアルデヒドが大量に含まれていましたが、現在は代わりの薬品が使用されています。ただし、代わりの薬品が安全かどうかは今のところ明らかになっていないため、健康被害のリスクが完全には取り除けていないと言えます。
マンション用の畳に含まれる有害物質
マンションで使用される畳はコスト削減のため、発泡ボード芯やビニールの裏地を使ったマンション専用です。このタイプの畳は結露しやすく、カビやダニが出やすくなるため大量の防虫剤が使用されており、それが健康に及ぼす悪影響が懸念されています。
塗料に含まれる有害物質
外壁塗装に使用するペンキ、床などに塗布するニスやワックスなどの塗料には、有機溶剤が大量に含まれています。有機溶剤には有害物質が含まれていて、人体に有害であることは明らかになっています。最近では、有機溶剤の代わりに水性塗料や天然系塗料を使用するようになってきています。
湿気対策とシロアリ駆除剤に含まれる有害物質
建築物の土台となる柱や梁、床材には、湿気対策とシロアリを駆除するための薬剤を塗布しますが、その中に有害物質が含まれていることがあります。
有害物質はどんな問題を引き起こすのか?
建築物全体が有害物質を含んだ建材や接着剤などでできているため、火災が発生すると猛毒のガスと黒い煙が発生し、人間は生命を奪われる危険性があります。建材が石油製品であれば、日常的に建材からVOC(揮発性ガス)が揮発し、健康に悪影響を及ぼします。内装の建材に使用されている接着剤にホルムアルデヒドが含まれていると、シックハウス症候群を起こすリスクもあります。特に家にいる時間の長い主婦や老人、幼児・子どもが発症する確率が高くなっています。
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