これだけは知っておきたい、現代の建築物・工法のデメリット(2)

■高断熱・高気密の工法には多くの問題点がある

最近では高断熱の工法が注目されていますが、これはポリスチレンフォームやウレタンフォームなどの断熱材で家全体を包み込む工法です。また、石油製品の建材を使った高気密工法で造った住宅も数多くあります。
高断熱工法や高気密工法で造られた住宅は、冬にすき間風が入らず暖房効率が良いというメリットがあります。その一方でさまざまな問題があり、住む人の健康への悪影響を及ぼす心配があります。ここでは、高断熱・高気密等の工法の問題点を紹介します。


窓が小さく風通しが悪い


高断熱・高気密工法で建築した住宅の一番のデメリットは、窓が小さく風通しが悪いことです。優れた性能の窓にすれば小さくする必要はないという考えもありますが、壁に性能の高い断熱材を使用した方が断熱効果は高いため、窓を小さくするのです。

高断熱・高気密の住宅は機密性の向上のため隙間がないようにしてあり、その分エアコンの熱効率はアップしますが、エアコンなしで生活するのが難しくなります。

また、窓が小さければ風通しは悪いので、夏場には室内の湿度が高くなります。そのため、エアコンにカビが発生しやすくなり、健康被害のリスクもあります。


コストが割高


高断熱・高気密の工法で建築された住宅は、冷暖房費を安くできますが、ローコスト住宅に比べると建築コストは割高になります。高性能の断熱材を使用したり、サッシや換気システムなどを設置したりすると、費用が高くなります。また、気密性を高めるため、職人さんが丁寧な施工をすることもコストアップの原因です。高断熱・高気密の工法で建築された住宅は高額なため、それほど普及していません。



揮発性化学物質による人体への悪影響

現代の建築物の内部には、石油化学製品である建材、接着剤などの化学物質が、揮発性ガスとなって充満しています。高気密工法の住宅ではこのガスが室外へ排出されず、シックハウス症候群や他のアレルギーの原因となっています。



冬場に乾燥しやすい

高断熱・高気密の住宅は、冬場に冷たい外気を遮断することができますが、エアコンで暖房すると室内の空気が乾燥しやすくなります。これは、室内の空気中の水分量が同じままで、温度が上昇すると湿度が低下してしまうためです。



使用できる暖房機器が制限されることがある


高断熱・高気密の工法で建築された住宅にはたくさんの断熱材が使われているため、ガスや灯油を燃料とする暖房機器を使うと、室温が過度に高くなることがあります。また、ガスや灯油の燃焼により二酸化炭素や一酸化炭素が発生しますが、気密性が高いため、それらは室外へ殆ど排出されません。これらが室内にこもると人体に悪影響を及ぼし、シックハウス症候群やアレルギーを引き起こすことがあります。



冬場に結露を起こしやすい


結露とは、空気中に含まれている水分(水蒸気)が温度の低下により、水滴となって現れて壁や窓に付着することです。

高断熱・高気密の工法で建築された住宅は、冬場になると結露を起こしやすくなります。これは断熱性と気密性を高めるための建材や接着剤が使用されていて、家全体がビニールシートで包まれたような状態になっているためです。高断熱・高気密の工法で使われる建材には湿度を調整する機能はないため、室温が低下すると行き場のない湿気で壁や窓がびっしょりと濡れてしまいます。

換気システムを24時間稼動させていれば結露は発生しにくくはなりますが、設計にミスがあったり施工が悪かったりして、外気の影響を受ける箇所があると、そこに結露が集中して発生することがあります。


高気密は息苦しさを感じる

高断熱・高気密の住宅は、家全体がビニールで包まれているのと同じなので、息苦しさを感じることがあります。新築のマンションでも息苦しさを感じる人がいますが、高断熱・高気密の住宅でも同じように感じる人はいるでしょう。

高断熱・高気密の住宅では換気システムが24時間稼動しているので、本当に空気が少なくなっているからではありません。もし停電などで換気システムが停止しても、換気口は複数あるので空気は出入りしています。気密性が高いことからくる精神的なものが原因と考えられます。


24時間換気システムにも弱点がある

高断熱・高気密の住宅には24時間換気システムが必須であり、それを売り文句にしていますが、いくつかの弱点もあります。例えば、常に換気扇を回しているため振動が耳障りで安らぎを感じられないことがあります。また、換気システムを作動させるため電気をつけっ放しにするので、火災になる危険性も高いのです。


換気口から外気を取り入れるのは不衛生

高断熱・高気密の住宅では換気システムを24時間稼動させていますが、換気口からダクトを通じて室内へ送り込んだ空気は不衛生です。換気扇にはホコリや菌を吸着させるフィルターが装着されていますが、室内へ空気を送るダクトの中はきれいではありません。空気中の湿気といっしょにさまざまなチリやゴミ、雑菌が付着しており、恐ろしいほどに不潔な状態です。シックハウス症候群などの健康被害が発生する危険性があります。


換気システムが停止すると悪影響が出る

高断熱・高気密の住宅では換気システムが作動している限り、室内へ新鮮な空気を供給することが可能です。ところが、換気システムがストップしてしまうと、住宅にはいろいろな悪影響が出てきます。例えば、カビやダニが発生したり、室内から発生する有害ガスを排出できず、シックハウス症候群を引き起こしたりします。


夏場に室温が下がりにくい

高断熱・高気密の住宅は熱を逃がしにくい構造になっているため、一旦温度が上昇すると下がるまでに時間がかかります。室温が下がりにくいことは冬場にはメリットになりますが、夏場にはデメリットになります。夏場に室温が上がり過ぎて、特に高齢者や小さな子どもは熱中症になるリスクがあるのです。



火災の際に危険


高気密の住宅で火災を起こすと、短時間のうちに人間の体が正常に動かない低酸素の状態になります。さらに、人体に有毒な一酸化炭素が発生し、避難が遅れて死亡する危険性があるのです。

また、高断熱の住宅で火災を起こすと、室内に溜まった熱が逃げないため、急激に室温が上昇します。その結果、発火点の温度が低い室内の備品に直接炎が触れず燃焼し始め、知らないうちに室内に炎が広がっていたというケースもあります。


防腐剤・防蟻剤による健康被害

現代建築は、法律で防腐剤・防蟻剤を住宅の柱や梁、土台などに塗布することが法律で義務付けられています。これらの構造材の材料として使用されている集成材が、白蟻に弱いため食い荒らされてしまう危険性があるからです。しかも、5年に1回は防腐剤・防蟻剤の塗り直しをする必要があり、そこから強い毒性のある揮発性ガスが発生する恐れがあります。

このガスが高断熱・高気密の住宅で床下から屋根裏まで家中を循環してしまうと、毒性の強い、健康に悪い家になってしまうのです。


木の温もりを感じられない

高断熱・高気密工法で住宅を建築すると、木の温もりや木の香りを感じられないというデメリットがあります。ビニールの材料で内部も外部も覆われていると、木造の家の良さが台無しになってしまいます。


■まとめ

いかがでしょうか?今回は、高断熱・高気密等の工法にはどんな問題点があるかを解説しました。高断熱・高気密等の工法には、暖房効率がアップする省エネ効果がある一方で、さまざまな問題があります。今回の記事で、高断熱・高気密等の工法について、理解が深まれば幸いです。



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