現代の住宅や工法のデメリットは漆喰で解消できる

■漆喰にはこれだけのメリットがある

現代の住宅や工法にはたくさんのデメリットがありますが、それらを解消するため漆喰が活用されています。
ここでは、漆喰を紹介していきます。



人体に害のない健康的な素材である

現代の建築物や住宅の建材には、石油化学製品の接着剤や塗料が使用されており、大量の有害物質が含まれています。例えば、ビニールクロス、集成材、合板、パネル、サイディングなどは本物の木ではなく、人工的に作られたものです。特に、接着剤にはホルムアルデヒドが含まれていて、シックハウス症候群を起こす可能性もあります。家に長時間いることが多い主婦や高齢者、小さな子どもは病気になりやすくなるのです。

それに対して漆喰は、水酸化カルシウムと炭酸カルシウムをメインの成分とする建材で、人体に害のない健康的な素材のため、瓦や石材を接着したり、壁を上塗りしたりするのに使用されます。

漆喰は表面がつるつるしていて、5000年以上前から壁材として活用されています。そのため、漆喰を使った国宝級の建築物や世界遺産は数多くあり、当時の状態のまま残っているのです。近年では、現代の住宅や工法の問題点である健康被害を克服できる自然の素材として、漆喰が大きな注目を浴びています。


VOC(揮発性ガス)を吸着し分解してくれる

現代の建築物や住宅の建材は石油化学製品であることが多く、VOC(揮発性ガス)の発生による健康被害のリスクがあります。24時間換気システムを設置すれば、VOC(揮発性ガス)を室外へ排出して、人が住める家にすることはできるかもしれません。ただ停電が発生したりすると、換気ができなくなることもあります。

その点、漆喰に含まれている炭酸カルシウム(消石灰)は、VOC(揮発性ガス)を吸収・分解してくれます。漆喰が空気中の有毒成分を食べてくれるのです。炭酸カルシウムは人の体との相性が良く、安全性の高い材料であり、高齢者や小さな子どものいる家には最適な素材の一つといえます。


湿度を調整する作用がある

現代の建築物や住宅では、断熱性と気密性を高めるための建材が使われています。そのため家全体がビニールシートで包まれたような状態で、冬場に冷たい外気を遮断することが可能です。ところが、冬場に暖房をつけると室内の空気は乾燥したり、室温が低下して結露を起こしたりすることがあります。また、夏場には室内の湿度が高くなるということもあります。

その点、漆喰は湿度を調整する働きにより、室温の変化に応じて適切な湿度にコントロールし、室内環境を快適にしてくれます。漆喰を塗った壁は、「呼吸する壁」とも言われるほど調湿性に優れており、建物の耐久性を高めてくれます。


家の中の嫌な臭いを除去する働きがある

石油化学製品や接着剤を使用している家の中には、独特の嫌な臭いが立ち込めており、人によっては頭が痛くなることもあります。

漆喰に含まれている炭酸カルシウムには、空気中の臭気を除去する働きがあります。


火災のリスクが低い

ビニールクロスや接着剤など石油化学製品の建材は、火災を発生させやすく、被害が大きくなることがあります。また、火災により一酸化炭素が大量に発生し、人体の機能が低下して逃げ遅れる危険性もあるのです。

ビニールクロスや接着剤などの石油化学製品と違って、漆喰は、原料が無機質であるため燃えない材料です。火を使う場所であるキッチンや調理場でも、火災の心配をせずに建材として自由に活用できます。

漆喰は、一般の住宅だけでなくマンションやアパートなどの集合住宅にも使用できます。江戸時代からある漆喰の壁でできた土蔵は、火事が延焼するのを防止して中にあるものを守るためのものでした。漆喰がいかに火事に強いかがわかる事例です。


抗菌性に優れている

現代建築の住宅には集成材が使われていますが、白蟻やダニ、カビなどに弱いため、防腐剤・防蟻剤を使用することが法律で義務付けられています。ところが、防腐剤・防蟻剤から毒性の揮発性ガスが発生する危険性があります。

漆喰には強アルカリ性の性質があり、有機物を分解するという抗菌作用があります。メインの成分である炭酸カルシウムは細菌の増殖を抑止し、カビやダニが発生するのを防いでくれます。病原菌・ウィルスが発生したときには、漆喰と同じ成分である石灰が散布されることもあるほどです。


汚れにくい

石油化学製品でできた建材には、一度ついた汚れが静電気により落ちにくくいという特徴があります。一方、漆喰のメイン成分である炭酸カルシウムは静電気を帯電しないため、ほこりがつきにくく長期間にわたって白さを維持できます。消臭効果も高いので、室内の汚れやすい場所で使用しても清潔さを保つことが可能です。


室内の衛生環境を改善できる

高断熱・高気密の住宅では室内の換気が必要なため、換気システムを24時間稼動させています。換気口を通じて室外から空気を取り込みますが、途中のダクトは大変不衛生です。換気扇にはフィルターが装着されていますが、ダクトの中に溜まったチリやゴミ、雑菌がシックハウス症候群などの原因となっています。

しかし漆喰を使用すると、チリやゴミ、雑菌をが吸着され、衛生環境を改善することが可能です。


■漆喰にもデメリットはある

漆喰にはたくさんのメリットがあることを紹介してきましたが、デメリットがないわけではありません。ここでは、デメリットも紹介しておきます。



キズが入っても消せない

漆喰は硬い石灰石と同じなので、金属でこすったり、引っかいたりするとキズがつきます。残念なことにキズは消えることなく、残ってしまいます。この点は、ビニールクロスの壁も同じなのですが、ホームセンターなどで販売されている補修材を使えば目立たなくすることができます。


水をはじかず吸い込みやすい

ビニールシートを使った建材であれば水をはじきますが、漆喰は湿度を調整する性質があるため水分を吸い込みやすい性質があります。

例えば、お茶が漆喰の壁にかかってしまうと、水分は吸収されてお茶の色が壁についてしまいます。水分を吸収しやすいので、時間が経過すると拭き取ってもお茶の色が落ちない可能性があります。早めに塗れた布で拭き取ることが大切です。

どうしても色を落としたい場合は、表面をサンドペーパーで削るか、漆喰を上から塗るしかありません。


工期が長くなる

ビニールクロスは、貼るだけなのでその日のうちに施工は終了しますが、漆喰は下塗りをして乾燥するのを待つ必要があります。1回塗って終わりではなく、乾燥させてから2回目の塗装をして厚みを持たせていきます。乾燥するのが遅い冬場であれば、完成までに時間がかかります。


割高になることがある

漆喰の原料自体は高いものではなく、むしろ安い材料と言えます。ところが、工事に手間がかかるため、施工する工務店や会社によっては、ビニールクロスより高くなることがあります。材料費と工事代のトータルで見ると、漆喰は割高であると言えます。


施工した時に匂いがする

漆喰を塗ったばかりの時に匂いがすることがありますが、自然に近いものであり有害物質の心配はありません。自然の材料しか使用していないので、時間が経てば匂いはなくなります。


クラック(ひび割れ)が入ることがある

漆喰で塗った壁には伸縮性がないため、外から力が加わると小さなクラックが入ることがあります。予防することは難しいのですが、髪の毛のように細いクラックなので漆喰の粉をすり込めば目立たなくなります。


■まとめ

いかがでしょうか?今回は、漆喰のメリットとデメリットを説明させていただきました。漆喰は長所ばかりでなく短所もあるのですが、それを考慮しても漆喰には住宅の建材として大きな魅力があります。現代の住宅や工法のデメリットを解消するため、漆喰の使用を検討されてみてはいかがでしょうか?



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