これまで漆喰によるアレルギー改善の可能性について解説してきました。実際に「漆喰住宅」に暮らしたくなった時はどうすればよいのでしょうか。今回はDIYで行う方法と工務店に頼む方法の二通りの手段について解説します。
DIYのメリット
▲DIYで塗る漆喰(「有限会社 しみず工務店」ホームページより引用、http://www.shimizukoumuten.co.jp/event/2079/)
DIYで漆喰を塗る方法とは、市販されている塗料と、ホームセンターで購入できる道具で塗る方法です。
安価である
DIYで漆喰を塗る一番のメリットとしては、安価に済ませられることが挙げられます。具体的な金額は用意する材料や塗る部分の面積によって違いますが、「ロハスウォール」(http://www.lohaswall.com/products/shikkui.php)の面積計算表によると、6畳間の壁面は20m2と解説されています。同表によると、その面積に必要な漆喰の量は24kgで、これは漆喰の大袋およそ一袋分になります。漆喰一袋に加えてコテなどの道具を全て揃えても、工務店に頼んだ時よりはるかに安く済むはずです。
好きなところにぬれる
漆喰は道具さえあれば、天井、壁、床を問わずどこでも同じ材料で塗れます。
自分の好きなデザインができる
漆喰ならば部屋の雰囲気に合わせてさまざまな仕上げ方ができます。本職の左官のように完全にフラットに塗ることはDIYでは難しいかもしれませんが、ラフな仕上げでも映えるところが漆喰の魅力です。コテ目を残して荒く仕上げてもおしゃれですし、スポンジやローラーなどで模様をつけても味のある仕上がりになると思います。
DIYのデメリット
うまくできないかもしれない
左官という専門職が古くから知られているように、漆喰の扱いはコツがいるものです。慣れるまでは苦労するかもしれませんし、不手際があるかもしれません。よくある失敗としては、養生が足りずに漆喰をどこかに散らして壁や柱を汚してしまったり、下地処理が足りずに後々壁にアクが浮いてきたり、クラック(ひび割れ)が発生してしまうことが挙げられます。
厚みの加減が難しい
また、漆喰の機能を発揮させるには、厚さが重要な要素になってきます。自分で塗ってしまうと厚さが均一にならなくなるおそれがあります。漆喰の調湿性能についてはこれまで繰り返し述べてきましたが、厚ければ調湿性能が良くなるというものではありません。薄過ぎても厚過ぎても問題です。あまり厚く塗ってしまうと、乾ききらずに剥げ落ちてしまうかもしれません。
時間と労力がいる
漆喰を塗ろうと思うと、ほぼ一日仕事になってしまいます。前もって作業の計画や予定も立てなければなりません。
さらに、漆喰は時間を置くと乾いてしまうため、なるべく時間をおかずに一気に作業を終了させる必要があります。もたついて時間がかかってしまうと、漆喰が中途半端に乾いてしまい、剥落の原因になってしまうことがあります。
安全性の問題
漆喰は強アルカリ性なので、目に入ってしまうと失明の危険性があります。また、強アルカリ性のため素肌に触れると肌が荒れることがあり、最悪やけどに似た症状を引き起こします。ゴム手袋を使用するなど、絶対に触れないようにして安全に作業を行いましょう。
上述した安全性の問題は、消石灰を原料とする本漆喰を使う際の話です。もしも安全性が気になるようでしたら、プロに塗装を依頼するか、消石灰を使用していない漆喰風塗料を使いましょう。
においがある
漆喰には独特のにおいがあるため、気になる人にとっては辛いかもしれません。海のようなにおいがするという人もいます。もっとも、このにおいは多くの場合、乾けば殆ど無くなってしまいますが、敏感な人は、乾いた後でもそのにおいが分かるかもしれません。
工務店に頼むメリット
工務店の中には、漆喰塗料によるリフォームや新築住宅工事を請け負っているところもあります。無料相談を受け付けているところもありますので、積極的にご利用下さい。
▲漆喰を使った住宅の施工事例(「株式会社 小林工務店」ホームページより引用、http://www.kk-kobayashi.com/result/1706.html)
確実な仕上がりが期待できる
DIYでは、良く言えば味のある、悪く言えば素人っぽさの残る仕上がりになりがちです。整った仕上がりを求めるのであれば、専門の工務店に依頼するのが良いと思います。家は長い年月暮らすことになるため、DIYの荒い仕上がりが似合わない場所ならば工務店に依頼することをお勧めします。
最近の工務店では、ホームページから資料請求ができる場合もあり、モデルハウスの見学会を設けているところもあるため、気になる工務店の情報を積極的に集めていきましょう。
相談に乗ってもらえる
アレルギー症状を持っていらっしゃるのでしたら、専門家の見地から効果的な施工をしてもらえるかもしれません。特に既存の住宅に手を加える場合は、一部分だけに漆喰を塗ってもアレルギーにはあまり効果が無い場合も考えられます。もしも化学物質アレルギーだった場合、木材その他の建材が原因となってアレルギー症状が起きている場合が考えられるからです。
工務店によっては各種アレルギー症状やアトピー性皮膚炎に造詣の深いところもあるため、依頼者の症状に合わせた工夫をしてくれるかもしれません。
工務店に頼むデメリット
お金がかかる
技術を持った職人に依頼することになるので、どうしても自分で施工するよりも費用はかかってしまいます。
漆喰を塗ってもらう価格は、1平方メートルにつき1万円単位で考えるのが良いでしょう。
工期が長くなりがち
クロスを使って内装工事を行うよりも、多少長くなりがちです。その理由は、漆喰は乾燥の時間を必要とするためです。
壁面の工事ではクロスを使った工事よりも何日か工期が伸びることを念頭に置いておいてください。
トラブルになる可能性
そう頻繁に起こることではないと思いますが、工務店が施工した工事をめぐってトラブルが起きることがあります。薄く塗り過ぎたために漆喰が効果を発揮できないことがあったり、誤った方法で塗られたために後々クラックが生じたり剥落する場合があります。工事を依頼する時は、安過ぎるところは避けて実績のある工務店を選ぶようにしましょう。
職人がいるかどうかわからない
全ての工務店に左官の技術を持った職人がいるかはわかりません。左官の技術を持った職人は業界の中でもそう多くはないと言われています。漆喰の工事を請け負ってもらえるか、あらかじめ工務店に確認をとった方がよいでしょう。
もしも近くにいない場合、出張費がかかる場合があります。
両者を比較して
▲漆喰(「株式会社 野村工務店」ホームページより引用、http://www.nomura-k.co.jp/make/shikkui/)
以上、自分で塗る場合と工務店に依頼して塗ってもらう場合のメリットとデメリットを併記してきました。大雑把にまとめてしまえば、お金をかけたくないならDIYを選び、高い完成度および確かな効果を求めるならば工務店に依頼するのが良いでしょう。
ただ、アレルギー症状を持っている方の場合だと、工務店に依頼することをお勧めします。最近はアレルギー症状に理解のある工務店も増えてきており、専門家の知見を聞くことは無駄にはならないと思います。
まとめ
これまで10回にわたって漆喰がアレルギーを改善させる可能性について述べてきました。漆喰は優れた材料ですので、その効果を是非ご体験の上ご確認いただくことをお勧め致します。ここまでお読みいただき、誠にありがとうございました。
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